美味しければ幸せだよね
「ひといっぱーい」
「でっかい建物と小さい建物が混在してるんだー」
きょろきょろと辺りを珍しそうに見渡してる三人(モコナは含まれてない)。黒鋼なんか、グリコの看板に似た野球選手の看板を見て『妙ちくりんなモン』とか言ってる。
私たちは早速、サクラちゃんの羽を探すため街へ出た。とりあえずファイ・D・フローライト氏はどんなものを着てもカッコイイのだと私は思った(だってホントにファイかっこいいんだよ!美形なんだよ!)。
「ちゃんの世界はやっぱりこんな感じだったー?」
「うん。もっと高いビルがある所もあったよ」
都会の方はすっごい高いビルいっぱいですよ。二酸化炭素バリバリ排出中ですよ。
「っていうかこことよく似た場所が私の住んでる場所にあったの。『大阪』っていって、空汰さんのような喋り方をする人がいっぱいいるところ」
「大阪!モコナ知ってるー!侑子が大阪のたこ焼きは天下一品だって言ってた!」
「あ、わかるそれ!大阪のたこ焼き美味しいんだよねー。やっぱ関東にはない味っていうのが関西にはあるっていうかー」
「たこ焼きも好きだけど、モコナ、お好み焼きも好き!」
「あ、私も好きー。モンジャとかもばりばり食べるね!」
「モコナもー!」
おお、モコナさん話しわかりますね。
侑子さんのミセがある世界は私がいた世界となんら変わらない。強いて言えばアヤカシとかの類がいるかいないか。なので大阪も存在している訳で。モコナとはこの先も何かと話しが合いそうだ。
「黒りんはー?」
「ねえよ!んでもって妙な呼び方するな!」
あっはっは、面白いなこのコンビ。てか黒鋼のツッコミがナイスすぎて良い。ファイが構いたくなるのもなんとなく解る気がする。今もモコナモテモテだー、って言葉に対してモテてねえよってツッコミを入れてる。うーん・・・これは四月一日と同じくらいのツッコミ能力か?
「うーん・・でもやっぱり四月一日の方が上かなー・・」
とか思ってたら皆が周りからいなくなってた。
「(しまった!逸れた・・・)」
と思ったら案外すぐ近くにいましたとさ。りんごを片手に持ったおじさんの前で、そのりんごをマジマジと見ながら不思議そうにしている小狼くんとファイ。黒鋼はりんごにはあまり興味なさそう。
来た!このシーン!生で見られる日が来ようとは・・・!
「そりゃ梨だろ」
「いえ、ナシはもっと赤くてヘタが上にあって・・・」
「それラキの実でしょー?」
ファイの言うラキの実ってどんな味なのかな。漫画で見た絵的にちょっと甘酸っぱそうな気がしたんだけど。
そうこうしてるうちに、おじさんにせかされ、モコナがりんごを買うと言ってりんごを五つ購入。はい、とファイに渡されたりんごをお礼を言って受け取る。やったー、りんごー!
「・・・お前んとこのはどうなんだ?」
「・・え?」
一瞬誰に話しかけてるのかと思った。だって黒鋼が私に自分から話しかけてくれるなんてあの『煩せえ』発言から一回も無かったから。おお、何かちょっと嬉しいぞ。
「私のとこもこれがりんごだったよ。梨も黒鋼の世界と同じっぽいしー・・(っていうか名前も同じだけど)。食文化だけ私の世界は黒鋼の世界と似てるのかもね」
『日本国は私の世界の昔に似ている』、とかいうのは止めた。細かい説明がめんどくさそうだったから。いや、だって、ねえ?めんどくさがり屋の私にとっては細かな説明という行為以上に面倒くさいものはないと思う。・・・・・嘘。もっと沢山面倒くさいものあるわ。
この後、りんごを一呑みしたモコナを見て、ちょっとびっくりしました。
・・・・あのりんごって侑子さんのとこに行ったのかな?
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11.02.18