この命は貴方に尽くすための証だ
「・・・また夢・・?」
こうもしょっちゅう見るものなのか、"夢"というのは。真っ暗で自分以外見えないこの場所。何も無く、ただ自分が其処に在るだけ。
『そなたを待っていた』
「え?」
今、声・・・したよね。え、どこから?周りには誰もいないんですけど。幻聴ですか。
『そなたは、我が主となる者』
「わっ!」
び、びっくりしたー。いきなり目の前の空間が青白く光ったかと思ったら一瞬にして動物みたいなの現れたよ!
犬、かな?にしては大きいし白っぽいけど銀色っぽいし・・・狼?え、でも何か額からユニコーンの角みたいなの出てるよ?んでもって首についてるアレなんだろう。なんか、神社にいる狐がしてそうな勾玉を連なったものを首にしてる。
「・・・貴方は・・犬ですか?狼ですか?それともユニコーンですか?それとも神社のお狐様ですか?」
『我が名は氷騎。そなたは我が主だ』
「・・えー・・・っと・・?」
とりあえずツッコミは無し、と。うん、寂しい。ボケたつもりもなかったけど、質問に関して何も触れてもらえないとちょっと悲しいです。
『我はそなたに仕えるためだけに生まれた』
「・・・は!?」
私に仕えるためだけって・・・どういうこと?この展開的に氷騎ってあの、あれだよね?巧断だよね?
漫画では小狼くんの巧断は彼の事を試して、それで憑いてたよね。私にはそんな試練みたいなの無くて(それはそれでラッキーだけど)、この子は私だけにしか仕えないと。要するに生まれたときからこの子は私のものだと。っていうか、私のためだけに生まれてきたと。
「(・・・・何か、それって凄い嬉しい)」
『我が司るのは氷。我が力、存分に使うが良い』
『主』って言ってるけど、ちょっと上から目線の言葉も気にしないようにしよう。だって、この子は私のためだけに生まれてきたくれた子。この子にとってそれはとても残酷なのかもしれない。でも、ごめんね。私は貴方がこうして私のためだけに生まれてきてくれたことがとても嬉しい。
「・・・氷騎、私は貴方の主なのよね?」
『そうだ』
「私の命令は絶対?」
『無論』
「・・・だったらもっと砕けた口調で話してほしいな。別にタメ語でもいいし。それから私の名前はね」
『・・精進はする』
「ありがとう」
巧断とはこれから少しの間だけど運命共同体だし、堅苦しい喋り方は遠慮したいかな。
「これからよろしくね、氷騎」
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10.03.05
加筆修正:11/02/17