るのは分のつかの憶だってってますか?











「・・ふぁ〜・・気持ち〜・・・」






肩まで湯船に浸かって力を抜く。湯船に浮かぶ波紋を見ていたら、何でか思い出した。さっきの夢。夢じゃないか。あれは私の記憶。この"身体"の私の記憶。






「『とうさま』・・・って誰?」





私にはちゃんと父親はいた。交通事故で小さい頃死んでしまったけれど、優しかった父親が存在していた。でも、あの夢の中に出てきた人は明らかに今の自分の記憶の中にいる父親とは違う。顔は見えなかったけれど、その他の容姿は全く違った。第一に、自分の知っている父親は着物なんか着ない。夢の中の『とうさま』は着物を少し流して着ているようだった。そして、何より違ったのはその纏っている雰囲気。






「しかもあの場所・・・侑子さんのミセ、だよね・・」






幼い金髪の私が泣いていたあの場所は、侑子さんのミセの庭で、『とうさま』はその中から出てきた。『とうさま』は侑子さんの知り合いなのだろうか。私には父親が二人?






「・・・・んな馬鹿な・・・」






ブクブクブク・・・と顔半分も湯船に浸けてみた。だからって謎が解けるわけでなないけれど。

全く解らない。もっと言えば、どうして私の身体は二つ存在していたのかも解らない(今は一つになったけれど)。






「・・・・・・・・・・出よ」






解らないことは考えてもしょうがない。ここで考えてても完璧にのぼせるだけだし、出ましょうかね。さてと。次にお風呂を明け渡すのは誰がいいんだろう。











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10.03.05