死なない程度に頑張ってください。
「・・・・って、頑張るのは私か」
四月一日が学校に行くから、とミセを出て数分後。私は侑子さんからこの姿のことを聞いた。いや、忘れていたわけじゃなくてね。侑子さんが、そろそろ四月一日が来る頃ねー、とか言うからとりあえず四月一日に会うことを優先したわけで、決してこのジョセフィーヌ的な外見を忘れていたわけじゃないわけよ。
『その体は元々貴女のものよ』
『・・・はい?』
『時機が来るまであの体で過ごす事・・・これも対価の一つ』
『・・・何のですか!?』
『記憶が戻ればおのずと解るわ』
『じゃあ今までの私のマシュマロブラウンの髪の体はどこに!?』
『あの体は元々貴女の細胞と魔力で作ったもの。今の貴女の元の体に還ったでしょう』
『・・・・・とことんファンタジってるよ、この世界は・・』
とまあ私の今までの体は今の私の体に還ったみたいです。別に今までの体に何か未練があったのかと言われたらこれと言ってないから文句は言わない。こっちの体の方がスタイルは良いし、顔のパーツは整ってるし万々歳だから、それはよし。
何がダメかっていうと、この次の言葉ですよ。
『、貴女はあの旅が始まるまでに、魔力を少し扱えるようにしておかなければいけない』
『・・・・えっ、え???何でですか?』
『自分の身は自分で守れるように、常識でしょう。そうじゃないと貴女、死ぬわよ?』
侑子さんの、死ぬわよ発言にちょっと体凍った。まじで笑えなーい。ありえそうで笑えなーい。
『今までの体にはクロウの魔術が施されていて魔力は一切使えなかった。勿論、貴女自身も気付いてはいなかったから当然でしょうけど。けれど今は元の貴女の体に戻った。今まで封印してあった魔力を段々と慣らしていけば、そのうち自由に使えるようになるわ』
『・・・っていう事は私も魔法使いに・・っ!』
『そうねー・・・とりあえずは四月一日と共に行動しなさい。そして色んなアヤカシと関わってきなさいな』
『・・・・え"・・・』
『あら、そんなに嫌?四月一日と行動」
『いやいやいや!嬉しいですよ四月一日と行動するだけなら!問題はその後半部分の言葉です!!』
『アヤカシ関係のモノと関わっていくうちに魔力は着実に貴女の身体の中で目を覚ますわ』
『ってわけでー・・・行ってらっしゃーい』
と有無を言わさず送り出されたから仕方なく四月一日の学校にトボトボと向かっているわけで。っていうか私は道を知らないんですよ。さっきから道行く人々に四月一日が通う十字学園の場所聞きまくりなんですよ。
で、そんな人々にはさっきから熱い視線ばっかり送られてる私。やっぱり金髪は目立つよね。しかも自分でいうのも何なんだけどすっごい綺麗な色なのよ。元の身体って言われても、未だに実感できないわ。こんなスタイル良くて髪も金髪で肌も白くてパーフェクトな身体が私の本当の姿だったなんて。
しかも今までの身体より身長高いからちょっと目線上がった気がして楽しいし。
「・・・・そういえば、私学校行くのはいいけど、入ったら不法侵入だよね・・?」
何で侑子さんは私を送り出したのかは謎でした。
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10.03.30