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"私はこれからヴォルデモートの所へ行って、そして、そして・・・・・





シリウス、桜の妖精として貴方といれた日々、本当に夢のようだった。
貴方から"好き"だって言ってもらえた事も。
何もかもが楽しかった、嬉しかった。

この結末は私自身が帝王側につく最初に覚悟していたこと。
それでも私は誰かの役に立ちたくて・・・ううん、ずっと好きだった貴方の役に立ちたくてこの道を選んだ。
だから、これはしょうがないことなんだ。












でもね、でもねシリウス。


本当は死にたくなんかないよ。

もっと貴方と一緒にいたい。
貴方と一緒に生きていたい。
もっともっと沢山のものを貴方と見て、感じて、一緒に年をとって・・・・
そういった"ありふれた日常"を貴方と歩んでいきたい。


助けてって叫びたい。
大声出して誰かに助けを求めたい。


どうして私だけ、なんて思っちゃいけないのにね。
こうしないと貴方と付き合える事も、ましてや話すことも出来なかったかもしれないのに。

やっぱり、一回最高の幸せに浸ると欲深くなっちゃうんだね。


でも、それでもこの状況はどうにもならないから。
どうすることもできないから。


だから、私、行くね。


ごめんね、今まで騙してて。
こんな私と付き合ってくれてありがとう。



私の特殊能力、記憶移転定着っていうのはねどうも死ぬ間際にしか発動しないみたいなの。
私の祖母にもこの能力はあったんだって。
お母さんがこの能力について教えてくれたの。
この能力はその人の生命エネルギー全てを使ってしまう魔法らしいの。
そして、それが出来るのは数億人に一人。


多分私じゃ、闇の帝王にかすり傷一つ負わせられないと思う。
だからせめて、彼の知らないこの能力で、私の全てを貴方達、騎士団に。


街に出た日に貴方に贈った指輪のペンダント。
あれに私の見てきた全ての記憶を送るね。
指輪に向かって『さくら』って言ってみて。
そうすれば、記憶を再生できるはずだから。







シリウス、大好きだよ。
ずっとずっと。
言葉じゃ言い表せないくらい。
好きなんて言葉じゃ足りない。
愛してるって言葉でも足りない。
それくらい貴方の事を想ってる。


だから、どうか、私の我が侭を聞いてください。


どうか、私のこと忘れないで。
未練がましいけど、貴方にだけは忘れてほしくないから・・・だから・・・・・


忘れないで。







それじゃ、もう行くね。
本当に、本当にありがとう。
貴方と会えて良かった。


愛してる、シリウス。
ずっと、ずっと・・・・。








バイバイ












ミシャより。"














クラの日と











「・・・・・・・」






俺は助けられなかった、ミシャを。
ミシャはこんなに助けを求めてた。叫んでたのに。






「・・・・何、やってんだろうな・・俺・・・」






何もしてやれなかった。
初めて心から愛した女だった。
愛しくて愛しくてどうしようもなかった。

それなのに俺はこいつの事何も知らなかったどころか、こいつの最後の叫びにも気付いてやれなかった。






「・・・・・・ミシャ・・・」






今はもう冷たいミシャの頬へと手を伸ばす。

冷たかった。
あの雨の日に感じた暖かい体温は微塵も感じられなかった。






「・・・ミシャ・・・・ミシャ・・ミシャ・・・っ!」






何度呼んでも返事は返ってこない。
あぁ、もうこいつは逝ってしまったんだ、と心のどこかで思ったら涙が出てきた。
ミシャと一緒にいた日の事も走馬灯のように思い出した。(この現象は死ぬ間際の奴に現れるものじゃなかったか?)(ミシャも、こんな感じだったのか?)



初めて会った時は変な女だと思った。デス・イーターでないかとも疑った。
でも、次に会った時こいつは俺たちに闇の陣営側の情報をくれた。
そっからだ。俺のミシャに対する警戒心が無くなったのは。

そっからの日々は本当に早く過ぎていったと思う。
ミシャを好きになったのは一体いつからだろう。
気付いたら一日中ミシャのことで頭いっぱいになってた。
それを相談したらリーマスもジェームズも『呆れた』って目で俺の事見てたな。


そうしてあの雨の日に、告白した。
まさか精霊からOKもらえるなんて思わなかった(OKなんて当たり前だ。人間だったんだから)
それからは本当に楽しかった。
ミシャに会うためにあのサクラの木にいくのが楽しみでならなかった。


あの日、ミシャがデートへ行きたいって言った日。
用事があると言って別れたあの後に、ミシャはヴォルデモートの所へ行った。
この手紙を書いてから。



手紙の内容を思い出して、自分の首にかかっているペンダントに触れた。チャリ、という音とともに冷たい感触が手に伝わる。
まるで今のミシャの肌の温度と同じように。






『さくら』






合言葉までもがあの木の名前。
よっぽどあの花が好きだったんだな。






なあ、ミシャ。

俺は絶対に忘れない。
お前の最後の望み、絶対に叶えるよ。


俺だってお前のこと愛してる。
言葉では言い表せないほど。
自分が自分でなくなっちまうほど想ってるんだ、お前のことを。


だから、絶対にお前のことは忘れない。














なあ、だから・・・だからさ・・・・

















もう一度、俺の名前を呼んでくれ













お前のその声で











その手で俺に触れて









その瞳に俺を映して

















なあ、ミシャ・・・


















心の底から愛してる。












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10.11.20