"シリウスへ。
この手紙を貴方が読んでるってことは、私はやっぱり死んじゃったんだね。
ダンブルドア先生に、私が死んだらこの手紙を貴方に渡すように頼んだの。
ずっと騙していてごめんなさい。
私は桜の精でも何でもない。ただの人間なの。
イギリス人の父と日本人の母の間に生まれたれっきとした人間。
年は百歳以上なんかじゃないよ。
貴方と同じ年。
そして私もホグワーツに在籍してた・・・貴方と同期で。
本当はね、初めて見た時からシリウスの事好きだった。
一目惚れってやつなのかな。
貴方の意思の強そうな瞳に惹かれたの。
でもあの頃の私は妙に意地っ張りな性格で、周りの子が格好良いって騒いでいる人気者の貴方に関わるなんて・・・周りの子と同じことをするなんて嫌だと思ったの。
周りと違うことをした方が貴方の気を引けると思った。
でも、そんなことなかった。
私はごく一般のハッフルパフ生で、貴方はグリフィンドールの人気者。
私はずっと遠くから貴方を見ていることしかできなかった。
ううん、しなかった。
その事は卒業してからもずっと後悔したの。
少しでもいいから、貴方と関わっておけばよかったって。
そんな時だった。
死んだ母の日記を見つけたのは。
そこには私の想像を遥かに超える事が書かれてたの。
私の父はスリザリンの末裔だ、と。
けれど父は純血主義なんてものは微塵も持っていなかったし、スリザリンの家系の考えにも嫌気が差していたみたい。
家を飛び出して母と結婚したみたい。
私は母の姓を名乗っていたし、そんなこと微塵も知らなかった。
元々衰退しかかってた父の家系・・・つまりスリザリンの血をその体に流している人は遂に、父と私の二人になってしまったみたいなの。
そして、父は私が六歳の時に死んでしまった。
こうしてスリザリンの末裔は私一人になった。そう思ってた。
けど、違った。もう一人いたの。スリザリンの末裔が。
それが、ヴォルデモート。
いつか必ず彼は私に気付くと、母は解っていたみたい。
そうして、接触してくると・・・。
そうして、その時は来た。
ヴォルデモートは私の前に現れた。
そうして私を闇の陣営へと勧誘してきた。
既に両親も他界してた私はここで断って、殺されてもいいかとも思った。
けど、ふいに思い出したのが貴方達、騎士団の事だった。
闇の勢力に対抗するためにダンブルドア指揮のもと、色んな人が集まってるって。
シリウス、貴方がいることも風の噂で知ってた。
だから、私はヴォルデモートの誘いを受け入れた。
うまくいけば騎士団の、貴方の役に立てるかもしれないって思ったから。
そうして私はデス・イーターにならないにしても闇の帝王側へとついた。
ハッフルパフ出の私に何が出来るのかと思ったんでしょうね。
帝王側についても一切束縛はされなかった。
闇の刻印も刻まれなかった。
ただし、情報も何もかも一切教えてもらえなかったけど。
けど、だからこそ私は彼の宿敵であるダンブルドアに会いに行くことができた。
スパイになると、伝えられた。
今思えばこうして私がダンブルドアに会いに行くこともヴォルデモートにはお見通しだったのかもしれない。
私が騎士団側からの有力な情報を持って帰ってきて、それを上手く聞き出そうって思ってたのかも。
スパイになったはいいけど、どうやってこちら側の情報を騎士団側に流すか考えていた時、私は貴方に会った。
恋焦がれていた貴方にだよ、シリウス。
ダンブルドアとは早々会えないと思っていたの。
私に会うために出てきたところを死の呪文で一撃、なんてことは絶対にダメだから。
でも、貴方になら大丈夫だと思った。
狙われない可能性がゼロではないけど、ダンブルドア先生よりかは低い。
それに何より、貴方と話しがしたかったの。
桜の精、なんて言ったのは騎士団側のことも闇の陣営側の事も知っていることを怪しまれないため。
桜の花びらが情報を運んできてくれるなんて真っ赤な嘘。
貴方が大怪我をしたときに傷が治ったのも精霊の魔法なんかじゃない。
私の魔法。私、治癒魔法だけは得意なの。
そしてもう一つ、私には特殊能力があるの。
聴力と記憶移転定着能力。
耳は集中すれば普通の人間よりも遠くまで聞こえる。
そして、自分が見たものを他者へと見せることができる能力。
何も教えてもらえなかった私が貴方たちに闇の陣営側の情報を流せたのはこの聴力があったから。
きっとこの技は世界中どこを探しても私にか使えないと思う。
そして、この能力を知っているのは私と両親のみ。両親が死んだ今、能力を知るのは私のみ。
当然、ヴォルデモートが知るわけがない。だから私はここまで自由に動けた。
でも、それももうお終い。
バレちゃったみたいなの、私のしてることが。
私はこれからヴォルデモートの所へ行って、そして、そして・・・・・
サクラの数日と桜の一生
「・・・・っ、・・・ん、だよ・・・これ・・・っ!」
「シリウス・・・・」
「・・・な、んなんだよ・・っ」
が実は人間で、俺達と同期でハッフルパフ生?
何で俺は今まで気付かなかった。
どうして在学中にの存在に気付かなかったんだよ。
こいつがスリザリンの末裔?
だから殺されたってのか?
「・・・・・冗談じゃねえ・・・っ!」
気付いてやれなかった自分に嫌気がさす。
こいつが、が今までそんな重いモノを背負っていて、それなのに何一つ気付いてやることができなかった。
在学中だってこいつの存在に気付いてやれなかった。
最後に『バイバイ』と言ったあの言葉の意図ですら。
「シリウス・・・・まだ続きがある・・・・その子の、最後のお前への言葉なんだろ?読んであげないと、が可愛そうだ」
ジェームズの言葉に手紙の内容に再度目を走らせた。
BACK-TOP-NEXT
10.11.19