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下の






「何だとー!?」






中森警部が叫ぶのが聞こえる。
そりゃそうだ。
いくつもある超防弾の窓ガラスのうちの一つが、すっぽりとなくなってしまっている。
ガシャン、という音が聞こえたのはほんの数秒前。
外へと繋がったことで、部屋に充満していた煙幕が勢いよく、外へと飛び出していく。






「くそっ!」






開け放たれた窓から今にも飛び立とうとしている白い怪盗へ、新一はまたもや発砲。
キッドは背中を狙われたにも関わらず、それを避ける。
が、






「ニャニャ!(宝石!)」






避けた拍子に宝石が落ちてきた。新一には一応迷惑を承知でここに連れてきたもらったのだ。あの宝石はなんとしても死守しなければ。貸しはしっかり返すよ。


ダッ、と宝石へと走り出す。その間にも新一とキッドがお互いの銃の引き金を引く音が聞こえる。中森警部たちがこちらに来ないということは、落ちた宝石には気付かずに両者の銃撃戦に圧倒されているのだろうか。
そうなるのも当たり前か。片方はただの小学生。どうなっているんだと叫びたいだろう。






「・・ニャニャー(きれー)」






やはり人間より動物の方が足が速い気がする。全速力で走って、宝石のもとへとたどり着く。
美しさに一瞬見とれてしまうが、すぐに役目を思い出す。
幸いにも宝石はペンダントのようになっていたので、鎖の部分を口にくわえ、新一の元まで戻ろうとした瞬間、






「っ、ミシャ!!」

「ニャ?(え?)」

「こんばんは、子猫ちゃん」






・・・・・・・・・・・・・・は?


あれ?あれあれ?あれれれれ?
おかしいな。何か急に視界が真っ白になったと思ったら、今はもう新一たちを見下ろす感じになってるよ?
ん?あれ?見下ろす?






「・・・・・・・ミャミャミャミャー!!!!(怪盗キッドー!!!!)」






宝石をくわえているせいでうまく話せないが、そんなことはどうででもいい。

まずいまずいまずい!
何でか知らないけどキッドに捕まった。うわ、まーじーでー。新聞に載っちゃうよ、私。

じゃなくて。

冗談言ってる場合じゃない。
私は今、キッドに抱き上げられ、ガラスがなくなった窓枠の上にいる。新一がこっちに銃口を向け、発砲しようとするが、






「へっ、甘いぜ」






頭上でそんな声が聞こえたかと思った瞬間、キッドが構えていた銃の方が先に発砲されてしまう。
早撃ちに負けてしまった新一の手から、先ほど同様拳銃が離れた。
拳銃が持ち主を離れ、宙に浮いた瞬間を見逃さずキッドはトランプを二枚、新一の拳銃へと撃った。






「・・・・ニャニャ・・(・・・・うそ・・)」






壊れた。新一の銃が、バラバラに。






「『アストライアの涙』確かに頂きました。では皆さん、月下の下でまたお会い致しましょう」






その言葉が言い終わるが早いか、キッドは窓から飛んだ。
勿論、彼に抱きかかえられている私も一緒に。



















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10.06.07