月下の悪戯
「こんばんは、中森警部」
不適に笑う口元。暗闇では目立つ白の装束。片目にはモノクル。
「出たな!怪盗キッド!!」
現れた白い怪盗は周囲を包囲されたのにも関わらず、その笑みを崩そうとはしない。
それは一瞬だった。
犯行予告時間になって、停電。
この大きな展示室のような部屋は一気に暗闇に包まれた。
キッド逮捕に精を出している中森警部の一声ですぐさま予備電源へと切り替わり、再度周囲が明るくなったと思えば、
「バカめ!変装して潜り込んだつもりだろうが、ここからは出られんぞキッド!」
この大きな部屋に置かれているものは、ただ一つ。
キッドの狙う今夜の獲物である、宝石が入った展示ケースのみ。
そのケースの上に一瞬で彼は現れたのだ。
「おい!出入り口封鎖だ!」
中森警部が無線で指示を出した瞬間・・・
ガラガラガラッ ガシャンッ
「(うっそーん・・・何あれ・・)」
「おいおい・・・」
一箇所しかない出入り口の前に鉄格子が現れた。
あんなもの、どううやって設置したんだ。非現実過ぎでしょうが。
新一も私もその状況に半目で失笑。
「今日という今日は逃がさん!キッドっ、覚悟ー!!」
その声と同時に中森警部はキッドへと向かって飛び掛る。他の警官の人も警部に続くが、
「甘いですよ、警部」
煙幕発動。
中森警部も本当に学習しない人だなー、とか暢気に思っていると、案の定と言うべきか煙幕は私たちの所まで襲ってきた。
「ニャッニャッ(ゲッホゴッホ)」
うわー、もろに煙吸い込んじゃった。マヌケなのは私もか。
「?」
パシュッ、と何かの音がした。猫の耳だからだろうか。普段ならこの騒ぎの中であんな些細な音、聞き分けられるわけないのに。何だろうと辺りを見渡すと(って言っても窓が開いてないから殆ど充満した煙しか見えないが)、何かが窓に辺り跳ね返ったのが見えた。
「残念だったなキッド!この部屋の窓ガラスは全部、超防弾にしてある!お前の変なトランプ銃なぞには壊せん!」
なるほど、今夜の中森警部の秘策はあの鉄格子とこれか。これなら何処へも出ることなんかできない。袋のネズミだ。けど・・・
「(窓開けなきゃ煙で殆ど何も見えないじゃない!!)」
どうやって捕まえるんだ、中森警部よ。
「くそっ、これじゃあキッドを探すどころか何も見えねえじゃねえかっ」
「ニャー・・・」
少し焦りの混じった声が隣から聞こえる。確かに警部の言った通り逃げれはしないだろうが、捕まえられもしないこの状況。一体いつになったら終止符が打たれるんだ。
「・・・ニャ?(ん?)」
何か、焦げ臭い?
え、まさか。こんなところで何か燃えてるってか?
きょろきょろと辺りを見渡すと、上の方に、薄っすらとだが小さなオレンジの光が見えた。しかも何か横に動いている。
「ニャーニャニャ!!ニャニャ!(新一!!あれ!)」
新一の肩につかまり(というかぶらさがり)、ぺしぺしと叩く。
「?、どうした?」
「ニャニャニャ!(あそこ!)」
ボウッ、と光っている場所を指差す。と言っても今は猫の手なので指で差すと言うよりも手全体で指す形になってしまう。
「・・あれは・・・それにこの匂い・・・・・そうか!」
何かを思いついたと思ったら・・・
コナンくんは懐から拳銃を取り出しました★
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10.06.07