うですね・・・方の界にする見をどうぞ。 











「はい、とっても不思議なお言葉が飛び交う世界だと思います」

「あなたのその言葉も『不思議なお言葉』の一つだという事は解っているかしら?」

「えーえー・・・侑子さんほど不思議じゃないですよー」






何。対価を払ってるって何。いつ何時何分地球が何回回った日!?






「貴女が対価に払ったのは、記憶」

「・・き、おく?」






別に私記憶喪失じゃないよ?ちゃんと自分のこと覚えてますよ?生まれた瞬間から、とかは覚えてないけど物心ついたときからの記憶はちゃんと備わってますことよ。

私には、交通事故で死んでしまったけどちゃんと両親もいて、死んじゃった後は一人暮らしをしていて、高校にあがって、隣にあった小学校に通ってる桜たちに会って、あの非日常的な毎日が始まった。






「ほーら、やっぱり記憶ちゃんとあるじゃん。侑子さーん、嘘はいけないですよー」

「・・・支払った対価は、軽いものではないという事。まあ、そのうち解るでしょう」






そう言った侑子さんの顔を見たら、言おうとしていた『どういう事ですか』という言葉が引っ込んでしまった。何て、言うのかな、侑子さんのこの表情。悲しい?寂しい?

ううん、どっちでもない。でも、私に向けた今の表情は胸がギュッ、となって私の方が苦しくなった。






「サクラ姫の記憶が羽になって飛び散ってしまう事は知っているわね」

「・・・・それを探すのが『ツバサ』の物語りですから」

「貴女の記憶も、姫の記憶と同じように羽となって各世界へと散らばっているわ」






次 か ら 次 へ と !

何でこの世界に来てからこんなにも訳の解らないことばっかなの!

・・・・そっか。この世界に来たこと自体が訳解らないことの一つだった。






「・・えー・・・っと?」

「その羽を集めれば、対価として支払った貴女の記憶は還るわ」

「でもそれじゃあ、対価としての意味がないんじゃ・・・」

「・・・・・その理由も、時機に解ることよ」






少し節目がちに話す侑子さん。やっぱり、あの形容し難い表情。ただ単に私にボキャブラリーが足りないだけなんだろうけど。






「・・サクラ姫の記憶も羽で、私の記憶も羽。どうやって見分けるんですか?」

「サクラ姫の記憶の羽には模様が入っていたわね」

「はい」

「貴女のは無地よ」






無印商品並みに無地だということですか。
・・・・別に無印商品はそこまで寂しいデザインでもないか。






「貴女の羽の波動も漫画と同じようにモコナが感じ取ってくれる。けど、サクラ姫のものなのか、、貴女のものなのかまでは判断できない」






ということは、羽の波動を感じたらサクラ姫の可能性もあるわけだから、絶対にその世界で羽を探さなくちゃいけないってことか。私のだけだったら別に探す必要なかったのに。

私は記憶を無くしたとは思ってないし、そう思ってないんだから羽も欲しいとは感じないわけで。






「大まかな話はこれくらいかしらね」

「あー・・・これ以上頭使う話されて、思考回路ショートしちゃったらどうしようかと思いましたよ。その時はセーラームーンになるしかないですね」

「その時には、あの格好であのポーズ、そしてあの決め台詞を言ってもらおうかしらね」






面白そうに、そして企んでるように言う侑子さんの言葉を頭の中でリピートする。

あの格好=あのミニスカセーラー衣装
あのポーズ=小さい頃一度はテレビの前で皆マネするだろうポーズ
あの決め台詞=『月に変わってお仕置きよ』




・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。






「・・・・・・・・・・すいません、無理でした」

「あら、残念ね」






むりーむりーむりー。あんな格好でいること自体がまず無理。却下だ却下。
月の戦士にはなれないです。











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10.03.30
加筆修正:11/02/17