炊事に洗濯、諸々の雑用に総司・・・
あ、違った。掃除だ掃除。
こっちに来てからの一週間、あのデビルマン沖田に何かとこき使われたから間違っちゃったよ。
この短期間で人の頭の中を侵略するなんて恐るべきブラックパワーだよ。
危険危険。






「今日もいい天気だー!洗濯日和!」






言うまでもなく最初は洗濯も料理もほっとんど出来なかった。
現代とは勝手が違うんだから当たり前だ。
とりあえず洗濯は何とかできるようになった。
洗濯板でごしごし洗うなんてやったことなかったから分からなかったけど、これが結構大変なのですよ。
何十着もある隊士たちの服を洗うのは流石に腕が疲れる。
初日は筋肉痛にまでなる始末。






「しかーし!人間、柔軟性があれば生きていける!」






『臨機応変に』。
中学、高校と演劇部に入っていた私が先輩、後輩、友達とよく口にしていた言葉。
過去の世界に来たならば、そこに会った生活スタイルを覚えていかねば。
洗濯機なんて、いくら探してもこの時代にはないんだから。(発明もできないし)






「あ」






洗濯物を持って井戸まで来ると、先客がいた。
井戸を使っているわけではなく、井戸がある中庭(って私は呼んでる)をその人は使っていた。






「斉藤さん」

「・・・・・あんたか」






うーん、やっぱり壁が・・・。

斉藤 一。
私が親しみを込めて名前で呼びたい人ナンバー1の人。
でも、『一ちゃん★』なーんて言った日にゃ、今お手元にあるあの刀が私目掛けて振り下ろされかねない。(いやまあ、そこまではないだろうけど)

とにかく私と一ちゃん(心の中ではもう呼ぶ)の間にはもの凄くものすごーく壁があると思うのだ。






「斉藤さんって、一度も私の名前呼ばないですよね」

「・・・・・・・・」

「(反応無しかい)」






一度は手を止め、素振りを始めた一ちゃん。
くっそー、クールボーイめ!
(※相手は年上です)






「私の名前、知らないって訳でもないですよね?」

「・・・・・・・・俺は」

「ん?」

「未だあんたを信用してはいない」






えーーーーーーー。

信用してはいないって・・・私にどうしろっていうのさ!
この一週間でちょっとはここの人たちと打ち解けたと思ったのに。
大体、未来のもの見てるじゃん!その時点で半分以上は信じてくれてもいいじゃん。






「そもそも、未来から過去に人間がやってくるということ自体が俺は信じ難い」





あーはいはい、私だって信じ難いですよ。
でも現実に起こっちゃってるんだから信じてくださいお願いします
現実逃避は止めましょう。






「じゃあ斉藤さんは、どうやったら私のことを信用してくださるんですか?」

「・・・・それは、俺にも分からん」






なあんだあとおおおおっ!
『俺にも分からんこと』が私に分かるかああああ!!






「・・・・・・とりあえず未来のすんごーいもの見せたら、未来から来たっていうことだけでも信じてくれますか?」

「凄い物だと?」






ええい!文明社会の産物、とくとご覧にいれましょう!












自由に生きろ











「で、ここを押すと・・・」






パシャリッ





機械音が響いた。隣では内心凄く驚いているだろうけど、表にはあまり出さない一ちゃん。


そう、そうなのです。
電波が無いから、通話や電話はできないけど、カメラ機能は生きてるんですよMy携帯!
試し撮りとして井戸を撮影。






「な、何だこれは・・・!?」

「写真って知らない?」

「『しゃしん』?」






あれ?
この時代、もう写真あったよね?
世界初の写真は1825年ニセフォール・ニエプスが撮影した『馬引く男』だよね?←THE★どうでもいい知識
あれか。鎖国してるから外国の情報全然入ってこないのか。






「うん。なんていうか・・・その時のものを記録できるものだよ」

「記録・・・・」

「そうそう。ってことで斉藤さんこっち向いて」

「?、なん・・」






『何だ』、と言おうとした一ちゃんをすかさず激写。
あ、写真の中の彼もイケメンだ。
スマホの高画質力なめんなよ!一ちゃんが本物に負けないくらいイケメンに映ってるよ!






「な、何をした・・・!?」

「とりあえずこんな感じで遊びに使うことが多いかな」






私は一ちゃんが映っている画面を本人に見せた。
画面に動かない自分が映っているんだから、この時代の人たちにとっては驚かない筈がない。






「な、何だこれはっ?俺が、映っている・・・?」

「斉藤さんも撮ってみますか?」

「『とる?』」

「これ、カメラっていう機能なんですけど、カメラで何かを記録することを撮るって言うんです」

「なるほど・・・・」






一ちゃんに携帯を渡して、撮り方を教える。
うん。何だかんだ言ってもやっぱり未来の物には興味持つよね。
なんか、何気に楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。






「じゃあ・・・試しにあの木にいる鳥を撮ってみてください」

「む・・・・こうか・・?」






一ちゃんは説明した通りに、カメラを鳥に向け、写真を撮った。
何か、何気に素直なんだなこの人。
一見、無口でクール、近付くなオーラ出してるかと思いきや、話しかければ(一応)ちゃんと受け答えしてくれるし、カメラに興味示してるし。




結論。
早く『一ちゃん』って呼びたいです。









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(11.08.26)