「そういえば・・・ちゃんの時代ではさ、この国はどうなってるの?」






沖田さんのその言葉で騒々しかった朝食の場は一気に静まり返った。












自由に生きろ











『隙あり!』

『あー!俺の魚ぁ!返せよ新八っつぁん!!』

『テメーら!落ち着いて食事も出来ねえのか!』

『まあまあ、トシ。いつものことだ』

『すまないねえ、くん。賑やかで驚いたろう』

『あ、いえ。賑やかなのはいい事ですし(実際うちの家も負けないくらい煩かったしな)』






なーんて。ちょっとお父さんとお母さんが生きてた頃の食卓を思い出してセンチメンタルになってた時のこと。沖田さんの突拍子な発言にその場の全員が一瞬で沈黙し、私の方を見た。
おいおいおいおい。そんな真剣な目で見ないでくれ。
平助ぇ!新八ぃ!!さっきまでの煩さは一体何処へ行ってしまったの!






「ど、どう・・・と、言いますと?」

「言葉通りだよ。今よりも民たちは暮らしやすくなってるとか、不逞浪士はいなくなってるとか」

「えーっと・・・・」






『どうなってる?』と聞かれても変わりすぎててどう説明すればいいのやら。
銃刀法違反があることとか?外国とのお付き合いが無くてはならないものになったとか?
殺人や窃盗の犯罪はまだまだあるだとか、法律が凄く細かくなったとか?
・・・・・・・・・・。
どれ言えっちゅーねん。






「先ず、銃や刀は特定の人を除いて所持が禁止になりました」

「は!?じゃあ敵に襲われたらどうするんだよ!?」

「その敵がいないんですよ、平助クン」

「?、どうゆうことだ?」

「つまり・・・・」






この国は今よりも治安がよくなったこと。
尊王とか譲位とかそんな考えを持った人は殆どいないこと。
外国人を受け入れて、その文化を反映していること。
着る物の違い。
食べ物の違い。
交通機関。
私の話せるだけのことは話した。
話しの間はみんな箸を進めるのを止めてただただ耳を傾けて聞いていた。


自由にやってみる、とは決めたものの。
流石に民主制についてだとかは言えなかった。
それを言ってしまえば今彼等がしていることが無駄だと言っているのと同じだから。
未来に幕府は無い。
幕府を守るという立場の彼等に、彼等の生きている道が無意味なものだと、言えるわけがない。






「・・・・・・ふーん。随分変わってくんだね、この国は」

「・・・はい。この時代みたいに緑に溢れてたり、空気が澄み渡ってる場所とか年々減ってっているけど・・・でも私は私の時代が好きだよ。そういえば、この時代に生きて頑張ってくれてる人たちがいるから、私たちの時代があるんだよね」






この先幕府が滅び行くものだったとしても。
今の『日本』ができあがるには、彼等の存在が無くてはならないもののはずだから。
幕府側や朝廷側が争わなければ、今の日本はできていなかったかもしれないから。
この時代に生きてる全ての人がいたから、今の日本があると思うから。






「みんな、ありがとう」






みんなのお陰だよ。









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(11.08.16)