「それにしても、女とはいえお前が脅しだけで済ませたなんて珍しいな」
「だって面白かったですし。あの子、刀向けても全然怖がらなかったんですよ?それに、頬斬られたあとも結構強気で話してくるし」
「ほー、総司に面白いなんて言わせるとはさすが未来人だな!」
「なら総司、あいつはお前に任せる」
「・・・・・・・・・・は?」
自由に生きろ
『今日からあいつはお前の小姓だ』
土方さんの頭って一体どうなってるんだろう。やっぱり一回斬ってみないと解らないよね。うん、今度一回本当に斬ってみよう。鬼の副長って言われてる人の頭の中見るのなんて楽しみだなあ。実行すること一くんには絶対バレないようにしなきゃね。一くん、土方さんの忠犬だし(←※悪気はない)。
「・・・・・・あ、あの・・・沖田、さん?」
「ん?なあに?」
「(いや、『なあに』じゃなくて・・・)なんか今凄く邪悪なこと考えてません?(笑顔が邪悪すぎる・・・)」
「やだな。そんなことないよ。ちょっと今度土方さんの頭を斬ってみようってことくらいしか考えてないよ」
「(おいおいおいおいおい!それは『ちょっと』で始まるレベルじゃないだろ!!)」
とりあえず『朝餉を食べてから今後のことを考えようじゃないか!』の近藤さんの一言で、この子の処遇は朝餉を食べたあと新選組幹部の前でもう一度考えるらしい。
でも多分、僕の小姓だって言った土方さんの言葉は変わらない。(僕がこうやってこの子に朝餉を持って来させられてるのが良い証拠)
『冗談じゃないですよ。そんなめんどくさいもの僕は要りません』
『お前、あいつのこと気に入ってるじゃねえか』
『面白いって言っただけで気に入ってるって思うなんて、土方さん頭悪くなりました?』
『まあまあ総司!くんが総司の所で現れたのも何かの運命だ!面倒見てやってもいいじゃないか』
『・・・・・・』
近藤さんにあんな笑顔で言われたら断れるわけない。
僕が黙ったあとの土方さんの目はそれを知っているかのようだった(やっぱり今度本気で斬る)。
「これ食べた頃にもう一回来るから。そしたら今度はここの幹部の人たち全員と会ってもらうよ」
「(めんどくせ・・・)・・・はーい」
「僕だってめんどくさいよ」
「読心術!?」
「まさか。君、すぐ顔に出るよね」
間者には向きそうにないな。演技だとは思えないし。
マジですかー、なんて言って頬に手をあてる未来からの訪問者。
その隣に転がっている見慣れない小さな物体。
「それ何?」
「へ?・・・ああ、これですか?携帯電話です」
「・・・・って、何するものなの?」
「(あ、電話もこの時代無いのか)遠くの人と喋ったり、手紙を出し合ったり、暇つぶしにゲームができたりする便利グッズです」
「げーむ?ぐっず?」
「(うわあああああめんどくせー!!)よ・・・要するに!便利な道具なんです!」
またこの子は・・・・
「今、僕のこと『めんどくさい』って思ったでしょ」
「・・・おもっへはいれふ。いはいれふ。はわしへふへふふぉふれしいれふ」(・・・思ってないです。痛いです。放してくれると嬉しいです)
ムカついたからぎゅーっと両頬を摘んで横に引っ張る。
面白い顔。この子本当に女の子?こんなことされて騒がない女の子も早々いないと思うんだけど。それとも未来の女の子は皆こうなのかな。
とりあえず何度か上下にも引っ張ってから放してあげた(引っ張る度に『いはひいはい』と言ってたけどそれがまた面白い)
「まったく・・・君みたいなのが小姓だなんて、先が思いやられるよ」
「・・・・・・・・・・・ん?え?何だって?もう一回お願いします。ワンモアプリーズ」
「(また異国の言葉)君、これから僕の小姓」
「・・・・・・・・・・・・・・はあああいいいいい!?小姓!?何!私が!?沖田さんの!?」
「何?不満なのは僕だって一緒なんだけど。言っとくけど、土方さんが言い出したことだからね」
不満っていうか私にそんな大役が務まるかどうか・・・っていうか小姓?え?本当に?、とぶつぶつ呟く彼女の姿は百面相みたいで面白い。
小姓、か。まあ要するに監視しろ、ってことなんだろうけどさ。そんなめんどくさいこと、自分でやればいいのに。僕だってめんどくさいのは嫌いなんですけど、土方さん。
「まあ細かいことはまた後で言われると思うよ。とりあえず君はこれ食べて待ってて」
「う、え、あ・・はい」
何、『う、え、あ・・はい』って。動揺しすぎ。あ、また百面相。
まあこの子が小姓であろうがなかろうが、僕にはあんまり関係ないしね。
適度に監視はするけど、あんまり関わるとめんどくさそうだし。
面白いなんて思ってても、所詮この子の存在なんて僕にとってはその程度。
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(11.01.26)