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総司が連れてきた女はとんでもなく変な奴だった。
第一印象で本気で頭大丈夫かなんて思った奴は始めてだ。
訳の解らない単語をペラペラと喋ったと思ったら、次はいきなり『私は未来から来ました』だ。
疑いもしたが、どうやら信じるしかない。

・・・・・まさか、あいつに自分の句をあんなにも大声で言われるとは思わなかった。











自由に生きろ











「って、わけなんだ近藤さん」

「う、うむ・・・未来から来た女子か・・」






宮元を部屋に戻らせ、近藤さんに今まであいつが言ってきたことを説明した。
因みに、俺はあいつを襲っってない、ということを一番初めに説明した(話しをする前に宥めるのが大変だった)。






「しかも総司の話しだと・・・羅刹かもしれない、と・・・」

「ああ。遺伝だとか言ってはいるが遺伝でなるものか?」

「うむ・・・・」

「でも、嘘ついてるようには見えなかったですよね」






スッと障子が開いて総司が入ってきた。
監視してろ、とも思ったが宮元の言ったことを考えると逃げ出す、なんてことはしなさそうだ。
必死こいてここに置いてくれと言っていた。大丈夫だろう。






「よく飼いならされた間者ってこともあり得るだろ」

「僕もそれは考えましたけど・・・でも、だとしたら何で羅刹なんかが向こう側にいるんですか?」

「・・・・・」






総司の言っていることは一理ある。
羅刹になる薬は俺たち新選組が幕府の密命を受けて開発・研究しているものだ。
長州や薩摩側に羅刹がいるとは考え難い。それに、そんな怪しいやつを普通間者にするか?もっと怪しまれなさそうな奴を送ってくるだろ。


未来から来た、という言葉を信じていないわけじゃねえ。
寧ろ、そうだと言われてしまうとそうとしか思えない。






「(それでも・・・)」






新選組の副長であるこの俺が、そんな簡単に信じていいのだろうか、こんな非現実的なことを。
認めてしまっていいのだろうか。あいつがこの時代とは別の時から来たのだと。
答えは、






「俺はまだ、あいつの言葉を全部は信じねえ」






否だ。
まだ・・・まだ信じるわけにはいかねえ。
情報が少なすぎる。確信に繋がるものがありありと俺の中にはない。






「でも、もうここに置くって言っちゃいましたよね?」

「確かに・・・どうするんだ、トシ?」

「・・・・・見極めてやるさ」






あいつが新選組にとって悪なのか善なのか。
あの言葉が全て嘘か本当か。

俺たちにはまだまだ時間はたっぷりあるんだからな。








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(11.01.25)