「ってわけで、頼めるかな?」

「・・・・その頼みには何の問題もないわ。でもね、ジェームズ!何で・・・何で・・・っ!何でブラックとなのよ!!」

「んな毛嫌いすんなよ

「頼むよー!僕じゃすぐに逃げられちゃいそうなんだ・・・!」

「だったらリーマスかペティグリューでも・・・!」

「あの二人にはまた別の仕事だとよ」

「・・・・・っ、だからってねー!何であんたなんかと・・・!」

「お前がエバンズと仲良いからだろ?」

「そういうこと!じゃあ頼んだよ!」

「っちょ、こら待てジェームズ!!」

「・・・・・行っちまったな」

「・・・・・ジェームズっ!後で覚えてろ・・!」














つまでも好き











最悪最悪最悪最悪!
リリーの誕生日だからプレゼント渡しに行こうと思って中庭通ったのが間違いだった!
別にね、いいのよ。
ジェームズ(そう呼べと本人に先日言われた)が計画してるサプライズに参加しても。
ジェームズがリリーを好きなことなんて結構な具合で周知の事実だし、最近でもリリーもまんざらでもなさそうだし。
別にそれはいいのよ、うん。

問題は!
何でブラックと一緒に計画遂行するかってこ と よ !






「・・・・・で?私はあんたと何をすればいいわけ?」

「もうすぐエバンズが寮に帰るためにここを通るから、そこを捕まえて怪しまれずにゆっくり天文台に連れてくのが俺たちの仕事らしいぜ」

「ゆくりって・・・そんなアバウトな・・・・」

「準備が出来たときはこれでジェームズから合図が来る」






そう言ってブラックがローブから取り出したのは何やら見たこともない小さな機械(機械かどうかも怪しい)。
多分マグルの世界のものに魔法をかけたんだと思う通信器具だ。






「・・・・怪しまれずに天文台・・・」

「・・・・・・・・おい」

「・・何?」

「何でそんな距離置くんだよ」






一歩、二歩とブラックから離れていってるのがバレた。いや別にバレてもいいけどさ。
あまりにも近すぎると女子生徒に見られたときの視線が痛いんです察してください。






「もう、ね。女の子って、ほら、怖いから」

「はあ?前にお前にちょっかい出してきた奴等には釘刺しといたから大丈夫だって。他の女共にもお前には手出すなって言ってあるから」

「(あー、うん。言ってくれたね。言ってくれたけど諦めてない方々とかもいるわけですよ困ったことに)」






確かに初めの頃と比べて女子達からの嫌がらせや恨みの篭った視線は格段に減っている。それでも往生際が悪い生徒は未だに私を目の敵にしてくる始末。
私は別にブラックを好きなわけじゃない。寄ってくるのはいつもブラックの方!、と言ったところで平手打ちが飛んでくるだけだ。






「(・・・・はあ)」

「お、来たぜ」






内心で溜め息をつきつつ、ブラックの声に落としていた視線を元に戻すと、前方からはリリー・エバンズ。今日のサプライズ計画の主役だ。






「うわっ、まだ作戦も何も練ってないのに・・!」

「こんくらいアドリブでいけるって」

「あんたは慣れてるでしょうけど私こんなことやったことないって・・!」

「いいから。俺に合わせとけよ」






そう言って歩を進め、ブラックはリリーに近付いていった。
なんつー度胸の持ち主!






「よ。エバンズ」

「あら、ブラック。があなたの傍に大人しく居るなんて珍しいわね」

「ああ。もやっとその気になってくれたらし「ちょっと!何の話しよブラック!!」






私も負けてられない、と一歩踏み出した矢先に聞こえてきた会話がこれだ。
割って入らずにいられようか。
私はおもいっきりブラックの後ろから叫んだ。






「ブラック、を構いたいのは解るけど、あんまりいじめると嫌われるわよ?」

「いや、あのリリー?今も好いてるわけじゃ・・・」

「そこら辺もちゃんと考えてる」

「え?は?何?そこら辺ってどこら辺よブラック」

「ところでさ、一緒に天文台来てほしいんだけど」






無 視 か 。
ブラックだけならいざしらず、リリーまでもが私を華麗にスルーですか。
というかしっかりと本題に入っているブラックにちょっと感心。
アドリブで何となるって本当だったのね。






「天文台?どうして?」

がお前に教えてほしいことがあんだとよ」

が?でも、あなたの方が成績上じゃない」

「う・・え・・・あー・・そのー・・・」






どうしようどうしようどうすればいい!?
ブラックの馬鹿馬鹿馬鹿大馬鹿野郎!
何でそこで私の名前出したの。私がアドリブなんて考えられないお堅い人間だって知ってるでしょ。そんな柔らかい頭してないし勉強以外じゃ何も取り得ないのよ私!

どうすればいいんだー!という意を込めてブラックをちらっと見る。






「(『どうすればいいんだー』って目してんなこいつ)・・・でもエバンズのが天文学の成績は上だろ?」

「ええ、まあ・・それはそうだけど・・・てっきり貴方が無理にでも教えるものだと思ったわ」

「無理にでもって・・・あのなあ・・」

「あら?間違ってないでしょ?」






ふふっと口元に手を持っていき笑うリリーは今日も凄くかわいい。
ジェームズが惚れるのも解る(怒るともの凄く怖いけど)。
リリーは寮は違えど、とても気の合う友達だ。合同授業等の時にはよく隣同士に座ったりする。
美人で優しくて賢くて、でも怒ると般若のような形相になるけど・・・でもそれでも凄くいい人だ。
勉強しか取り得がなくて何の面白みもない私とも仲良くしてくれる。
リリーが大好きだからこそ、ジェームズの今回の計画に乗ったんだ。






「(・・・ん?何でブラックは私の天文学の成績がリリーより下だって知ってるの?私言ったっけ?)」

「俺が教えてやるっつったら、『リリーも一緒になら。あんたと二人きりなんて絶対お断りよ』だとよ」

「(あーやっぱそういうところは学年首席さんの情報網ですってか)」

「あら、とってもらしい答えね」

「(所詮万年二位以下の私には知りえない情報網持ってますってかこんちくしょー)」

「それにしても、よくの成績のこと知ってたわね」

「(毎回毎回テストの度に努力してるとこなんて見せないでそれなのに満点とかさ!本当何なのこの人!)」

「ま、のことだしな」

「(実はサイボークが何かなんじゃ・・・)」

「ストーカーは嫌われるわよ」

「(・・ん?ストーカー?ああ、サイボーグよりストーカーの方がしっくりくる気が・・・)」

「ってことはとっくにジェームズに望みはないってことか」

「(ああ、ジェームズがストーカーっていう方がしっくりくる・・・・)って、何の話しよ!」






段々意味解らなくなってきて、ぱっと顔をあげてみたら吃驚した二人の目があった。






「・・・・・・あ、えとー・・・そのー・・・・ごめん、ちょっと考え事してた・・・」






必死に取り繕うとしたけど機転の利かない私には言い言葉が浮かんでこなかった。
ストーカーとかジェームズとかいう単語は拾えていたが肝心の何の話しかっていうことが全く解らない。






「で、何の話しだったの?」

「ジェームズに希望はないってこと」

「は?」

「べっ!・・・別に・・・そんなこと言ってないわよ・・・」

「(お、この反応は・・・・いい感じだぜジェームズ)」






頬を少し赤らめるリリーにどこか楽しそうなブラック。
訳が解らない。何でリリーがブラックの言葉で赤面しなきゃなんないの。






「(・・・あれ?何でちょっとイラってきてるんだろう私)」






・・・・・・・・・・いやいやいやいや勘違い勘違い。
イラっとなんてきてないわよ。そうよ、何で私がイラッとしなきゃなんないのよ。理由がどこにも見当たらないし、きっと気のせい。






「ね、ねえリリー!私早く解らないところ教えてもらいたいし、天文台行かない?」

「そうね。もう夕方だし、早めに行きましょうか」

「(よし!作戦成功じゃない!?)」






どうよ!、とブラックの方へ向けばグッジョブのサインが返ってきた。
よし!私にもできた!
あとは天文台のジェームズ達の準備が終わればOKね。






「ジェームズたち、準備出来たってよ」






先に歩き始めたリリーの後を追いかけようとしたら、耳元でブラックの声。
・・・・・なんて良い声してるんだ。何人の女子生徒がこの声に囁かれて落ちていったんだろう。最も、当の本人にその気は全くなかったらしいけど。






「じゃ、あとは天文台に行けばOKってことね」

「ああ」

「二人ともー、行くんじゃないのー?」

「ご・・ごめんねーっ、今行くから」





私たちよりちょっと先にいるリリーの元へ追いつき、一緒に歩き出す。






中庭を出、廊下を歩き、階段を登り、さあ着いた。天文台の扉。



そして主役が扉を開けると・・・・










Happy Birth Day Lily!!

(はいリリー!僕からのプレゼントだよ!)(ポッター・・・・ありがとう)(わっ!見た、今の!?リリーが僕に笑いかけてくれたよ!)((((はいはい・・・・))))













11.01.30
リリー生誕祝い。
Birthとdayの間を空けたのはわざと。