「まさかここまで上手くいくとは思わなかったわ・・・」
「俺とがタッグ組んでるんだしこれくらい余裕だよ」
「『シリウス様を立派な純血至上主義に再教育させていただけませんか?』・・・なーんて、普通OK出さないでしょ」
「それくらいヴァルブルガの頭がイっちまってるってことだよ」
通された応接室で、出された紅茶を飲む二人。
メイドにこの部屋に通された後すぐにヴァルブルガが来て、息子を連れてくるから待ってるように、と言われた。
だが、自分達は本当に純血至上の考えをシリウス・ブラックに教えにきたわけではない。
大人しく待つ気など毛頭ないのだ。
「さて、と。この部屋にかけてある呪い系の魔法がないか調べてから、一応防音の魔術と盗聴防止の魔術、それからそれらしく勉強しているように見えるフィルターもかけましょ」
「OK」
Alice In Wonderland
不思議な世界へいらっしゃーい
「では、頼んだぞ二人とも」
「「お任せくださいませ」」
ヴァルブルガはシリウスを応接室へと連れてくると、最初のうちは二人がシリウスへどのような再教育をするのか見たあと、その過程に満足したのか部屋を後にした。
これは達を信頼できた、という証として取っていいだろうと二人で目配せをした。
余談だが、シリウスがヴァルブルガに連れられて入ってきたときの心底嫌そうな顔と、自分達だと全く気付いていない態度に二人は笑いそうになった。
「・・・・・・」
「さぁ、シリウス様。お母様がいなくなったからといって手は緩めませんわよ」
「・・・・・ウゼェ。あのヒステリーババァの前じゃ面倒だから静かにしてたがあいつがいなくなった以上、黙ってお前等の言いなりになる気は更々無いね」
「・・・・・(全く)」
これが私達ではなく過激派な人間だったらどうするんだ。
きっとヴァルブルガはシリウスが更生するのであれば多少の体罰は厭わないだろう。
そうなれば家庭教師に今のような口を聞いた彼は一発で罰の対象だろう。
「・・・・シリウス様。私どもはシリウス様が更生なさるためであるならば、多少の体罰を使ってもよいとお母様から許可を頂いているのです」
「あまりなめた口を聞くと、僕たちも黙ってません」
「へっ。上等だ。純血至上の考えを強制で植えつけられるならそっちの方が数億倍マシだっての」
「・・・・・・困ったご子息ですわね。兄上、」
「ああ。やれ、リノア」
二人は互いに目配せをし、頷きあった。
辺りには緊迫した雰囲気が立ち込めた。
がシリウスに杖を近付け、当の本人であるシリウスは次に来るであろう痛みと衝撃に備え身体を硬直させ目をギュッと瞑った。
「(・・・そういう所はまだまだ子供だね、シリウス)」
そう思ってから、杖をシリウスから降ろし、そのまま・・・
ピシッ
デコピン一発。
「・・・・・・・・・・は?」
広い応接室にシリウスの素っ頓狂な声が響き渡った。
その声と目を開け呆然と額を押さえるシリウスの姿に耐え切れなくなったのか、同時に二人は笑い出した。
「あははははは!シ、シリウス・・!そ・・その、顔っ!あははは!!」
「はははははっ!おっもしれーっ。久々に人のこんな顔見た!」
仕舞にはお腹を曲げ笑い転げ始めた二人にシリウスは段々と理性を取り戻し始めた。
何がなんだか分かりはしないが、とにかくこの二人は今の自分の反応に笑い転げている。
失礼極まりないが、今まで二人を纏っていた緊迫していてとても重苦しく嫌な雰囲気が全く無くなっていた。
「〜〜〜っ。何なんだよお前等!いきなり人のこと笑い出して!!俺に体罰与えるんじゃなかったのかよ!」
「ははっ・・・あー、笑った笑った。笑いすぎて涙出てきた」
「俺も。こんな笑ったの久々」
「おい!人の話し聞け!!」
目に涙を溜め、ひーひー言いながら自身を落ち着けている二人へ講義の声を飛ばすシリウス。
そんなシリウスに二人は涙を拭きながらごめんごめん、と謝った。
「私達が何者か、だったよね?」
「ほぼ一年一緒だったのに気付いてくれないなんて悲しい悲しい」
「ほらほら、そんなこと言ったってこんなに完璧に化けてたらシリウスだって分かんないでしょ」
「・・・・お前等・・何なんだ?」
警戒してかシリウスは二人から距離をとっていた。
その光景を見たが、ほら早く教えてあげないと、とディアミスに催促する。
「これで分かるだろ」
パチン、とディアミスが指を鳴らすと一瞬だけ二人をセレスト色の光が包み、ポンッという音を発した。
その音の後にシリウスの前にいたのは、
「やほー」
「学期末ぶり」
よく見知った友人たちだった。
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11.07.26